2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

妖(もののけ)の涙――小説 玉璽物語十三

妖(もののけ)の涙――小説玉璽物語 十三 冀州(きしゅう)から東北へ通じる街道に黄塵が絶えない。来る日も来る日も避難民が東北へと街道をたどった。 「どちらへ行きなさる」 木陰で憩う埃まみれの男に物売りが問うた。 「幽州です」 答えた声は若く、涼しい…