2013-01-01から1年間の記事一覧

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十七

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十七 「州牧が来なすったのだ。名士や長者どんは酒やご馳走を奮発してのう、街道で行列をねぎらった。張魯や母親も若くて別嬪の女弟子を連れて顔をだしよったぞ」 「成都からはるばる綿竹にかい?」 「はるばるは当たってないぞ…

ひったくりだ!

ひったくりだ! ひったくりにあいました。 数日前のことです。 その日は天気予報によると、夕方から大雨らしい。雨雲レーダーをみると雨が降り出すまで数時間はある。 雨かぁ。レインハットや雨よけの巻きスカート、雨合羽の上着をバッグに入れて、自転車の…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十六

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十六 「出し抜かれてしもうたよ、あの魯に」 いまいましそうに老人は舌打ちした。 「出し抜かれたのですか? あら。どういうことですの?」 三娘は可愛く小首をかしげた。 「張魯の母親の力じゃ。たいした女じゃのう」 「ふーん…

猫の仁義

猫の仁義 アル君は知人の家の猫。段ボール箱に入れられて公園に捨てられていた捨て猫だ。縁あって知人の家のペットになった。子猫の時に我が家に遊びにきたことがある。子猫のときの写真しかありません。 今は大きく育って十キロを超えてしまった。 ハムやチ…

踏切の怪とサダコ

踏切の怪 とある私鉄の無人踏切を通るとき、「ああ、危ないな」と思う。少し遠回りをすると大きな車も通れるちゃんとした踏切があるが、面倒な迂回はまっぴらごめん。だから自転車どうしがすれ違うには、どちらかが降りて自転車をひいて歩かねばならない狭い…

『穆天子伝』の崑崙の墟(おか)と西王母の国 印象的な写真

『穆天子伝』の崑崙の墟(おか)と西王母の国 印象的な写真 古代に蒲類海といわれた巴里坤(バルクン)湖 巴里坤湖の所在地は新疆ウイグル自治区の哈密(クムル)地区のバルクル・カザフ自治県です。 このあたりは周の穆王の時代に、西王母の国があったところだと…

『穆天子伝』の崑崙の墟(おか)と西王母の国

『穆天子伝』の崑崙の墟(おか)と西王母の国 なぜ、私は雑多な史料のなかを遊泳するのだろう? 魅力があったからに違いないが、三国志関係の史料から大いに逸れてしまい、たぶん使うことなくこのまま眠らせておくことになる。そして忘れ去ってしまう。少しも…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十五

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十五 「……江の頭領」と、つぶやいたまま三明は言葉が続かない。 彼の驚愕ぶりがよほど面白かったのか江の頭領は、うふふと笑った。笑うと眉間からさっと白い光があふれた。ああ、この男は袁紹に似ている。袁紹もむかし、このよう…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十四

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十四 近づいては遠ざかる両岸の景色を、胡三明は飽きもせず眺めた。 商人たちにはそれも見慣れた眺めなのか、さして心動かされた気配はない。甲板にもうけられた小屋で酒杯を重ね、夢のように壮大なもうけ話に余念がない。 三明…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十三

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十三 なんとも人を食った対面だ。月華の奴、嬲(なぶ)るのもいい加減にせいっと、三明は眉をしかめた。 「おほほ。苦い顔だこと」 月華が袖で口を覆って笑った。 「幼馴染みじゃないか、そんな目で見ないでおくれ」 「当世じゃ義…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十二

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十二 堤の上に上ると目に飛び込んできたのは、夏空を背にした朱塗りの楼閣だった。といっても楼閣までは距離がある。距離があるのに人目を惹きつけて逸らさないのだ。朱の鳥が翼を広げてまさに天空に飛翔せんとするような優美な…

猫の尿路結石が悪化して入院ですって

猫の尿路結石が悪化して入院ですって うちの猫ではありません。 まだ四歳ぐらいかしら? 知り合いの猫なんですけど、六月にバラ色のおしっこをしたので病院に連れて行って「尿路結石」といわれたそうです。それで治療受けて元気になったそうです。でもすぐに…

Microsoft Office Outlookが作動しない

Microsoft Office Outlookが作動しない パソコンの修理ができあがった。 連絡が入ったのは七月十一日の昼下がり。連日三十五度の猛暑日である、日陰が伸びる五時すぎに受け取りに行った。やはり修理代は二万五千二百円、痛かった! でも仕方がない。 梱包を…

おいしいお漬物、その後

おいしいお漬物、その後 おいいしいお漬物のその後です。 お漬物がおいしいとご飯が進む。 これは本当である、実証しなくてもよいのに私の体は正直に反応してしまった。つまり少し太ってしまった。しまった、こりゃいけない。しばらくお漬物は禁止。 塩麹漬…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十一

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十一 船は江水をさかのぼって行く。屋根がついているのがありがたい。うれしいことに江を渡る風は涼を含んでいる。黄龍は三娘の足下にうずくまり、耳をそばだてていた。 さきほどから掌(たなごころ)で胡桃を転がしていた男が…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 九十 「奇遇だよう。天の端っこに流れ着いたと思ったら都の知り合いに会えたのだから」 月華姐さんの声が踊った。 「姐さんこそどうして荊州の田舎に?」 胡三明が不思議そうな顔をした。 「話せば長くなるよ。お前さんたちこそど…

パソコンが壊れた

パソコンが壊れた 六月二十七日未明、ノートパソコンのバックライトが壊れてしまった。 兆候はあった。数日前から、パソコンを立ち上げると、現れた画面が一瞬消えて、再び画面が現れるのだ。おかしいなと思ったが、素人の悲しさである、それがバックライト…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十九

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十九 《あらすじ》 董卓の横暴を怒った曹操は雒陽を脱出すると、衛茲(えいし)という孝廉の助けを得て中牟の地で義旗を揚げた。だれよりも早い義旗である。 天下は董卓の悪逆非道に憤激し、こぞって義兵をあげた。推されて義旗の…

アップルパイ、額縁つけたらナイス

アップルパイ、額縁つけたらナイス アベノミクスなんてどこ吹く風の我が家。少々出費がかさみすぎたので、節約生活です。手持ちの材料を腐らせないをモットーに、冷蔵庫や野菜ストックを整理しました。 野菜ではないのですが、買ってから日にちが経ったリン…

おいしいわ、この塩麹漬け

おいしいわ、この塩麹漬け グルメというほどでもなければ、レシピというほどたいそうなものでもない。 でも、塩麹でつけた一夜漬けの漬け物がとてもおいしい。 百円均一で買った容器に市販の塩麹漬けの素を入れて野菜を漬けると、関西の薄味に慣れた舌には少…

猫との距離もほどほどに

猫との距離もほどほどに 猫はいま、私のそばですやすや眠っている。今日はよく眠る。いつもならぱっちりとお目々をあけていて、PCなどいじっていると「遊ぼ~う」って感じで私の腰のあたりをすりすりする。おお、よしよし。ちよっとだけ遊んでやる。 猫好き…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記四十 子午道と褒斜道(ほうやどう)

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記四十 子午道と褒斜道(ほうやどう) 子午道は秦代に作られたという。。つまり記録がないのである。西漢末、王莽は皇后に立てた娘が初潮を迎えたことを祝して、子午道を作ったと記される。 子午道から離れているが陝西省咸陽市の…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭)雑記 三十九 子午道

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十九 子午道 子午道(しごどう)とは長安(陝西省西安市)の東南からはじまり、秦嶺をこえて西南およびその周辺に行く重要な道の一つである。 子午谷(しごこく)またの名は子午峪(しごよく)という谷を通過する道で、北の出口を子…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十八

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十八 胡三明が唸ったのも無理はない。 長安から秦嶺を越えて西南およびその周辺に行く道は六つあると言われていた。なかでも益州に入る主な道は三つである。 その一は長安西郊にある杜陵(とりょう)から漢中に入る子午道(しごどう…

さんざんな目に遭った四月

さんざんな目に遭った四月 四月から五月にかけてPCに翻弄された毎日だった。 まず、おかしいなと思ったのはある人からゲストブックやコメント欄に内緒のコメントが入る。別にたいした用件ではない。その人のお仕事はリサイクル業なので、我が家のタイヤや電…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭)八十七

丁夫人の嘆き(曹操の後庭)八十七 博労の李の妻が営んだ『李華楼』は、その一角に軒を連ねる妓楼のようにごく庶民的で、出入りするのは商人や百戯の者というふうに白民ばかりで、間違っても貴人などには縁がない。 時として、妓楼の朱門をくぐったものの、…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十八  続 葭萌関

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十八 続 葭萌関 前回の葭萌関では入力がうまくいかなくて文字の頭がそろわなくて見苦しかったことをお詫びいたします。 四川省広元市の昭化古城の古い城壁 写真奥の左の土壁です。 右側の案内板は、城壁遺跡について三ヶ国語…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十七 葭萌関

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十七 葭萌(かほう)関 四川省広元市元垻区(げんはいく)曲回郷葭萌村にある。 葭萌は元代に昭化と名を改められた。現在の昭化古城が古の葭萌関である。 真ん中、奥が葭萌(こほう)古関 小学生の遠足らしい。 昭化古城(旧名葭萌)…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十六

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 雑記三十六 蜀の地、すなわち後漢の益州は四川省のみならず雲南省、貴州省、陝西省漢中市をも含む広大な地域である。 蜀の地は天然の要塞に囲まれた広大な地域で、その国に入るには険しい山間の道をとるか、長江の支流である嘉陵江…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十九

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 八十九 劉焉とおなじ頃に劉虞(ぐ)という男が幽州牧を拝命した。 虞は東海恭王(劉彊りゅうきょう)の五世の孫だ。 東海恭王は光武帝の長子で太子に立てられた。実母は郭皇后である。光武の妻になって十数年、郭皇后の容姿は衰えた…