2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

妖(もののけ)の涙――小説 玉璽物語2

妖(もののけ)の涙―小説 玉璽物語 2 私の棲家だった玉座は灰になった。董卓という粗野な男が西からやってきて、洛陽宮に火を放ったからである。私の数少ない友人である玉座の精は、依り代を失って気力が萎えてしまった。廃墟にひとしい宮殿の穴蔵に身を横た…

妖(もののけ)の涙――小説 玉璽物語

妖(もののけ)の涙―小説 玉璽物語 私は妖(もののけ)である。人面鳥身、体の色は青と黄色。人はわが一族を、みみずくの姿をしていると言う。 私は、飛べばその国滅ぶと恐れられるじ鳥(じちょう)の精である。 わが一族は、地に充ち満ちた邪気と悲嘆から生まれ、…

伝国の玉璽(ぎょくじ)物語 三

伝国の玉璽(ぎょくじ)物語 三 漢室から王莽の新へ 王莽が漢を纂奪したとき、人を差し向けて、自分のおばにあたる漢の孝元太后(王政君)に、伝国の玉璽を求めた。このとき、王政君は大怒して玉璽を地上に投げつけた。そのため、伝国の玉璽の一角が欠けてしまっ…