2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

豪侠の代償

豪侠の代償 進士の崔涯、張祜(こ)は科挙の試験に落第したので江淮の地を遊びまわった。つねに酒を嗜み、当世の人物を侮謔(ぶぎゃく)した。あるときには酒の勢いで自らを豪侠と称した。この二人の好みは同じだったので、たがいにこれと甚だ気があった。崔は…

祟る魯粛

祟る魯粛 王伯陽の家は京口にあったが、宅の東に一つの冢(つか)があった。この冢は魯粛の墓だと言い伝えられていた。 伯陽の婦(つま)は郗鑒(ちかん)の兄の娘である。婦が亡くなったので伯陽は冢を平らに削ってそこに埋葬した。数日後、伯陽が昼間、役所で座…

好き者の墓に現れたもの

好き者の墓に現れたもの 呉国の胡邕(こよう)は好色だった。 妻、張氏を娶ったが彼女を憐れんで捨てなかった。のちに妻が亡くなった。そして、邕もまた亡くなった。家人は後園の中に殯(かりもがり)した。 三年後に埋葬したのであるが、塚の上に、いつも、寝床…

恋人たちの樹

恋人たちの樹 潘章はごく年若いころから姿かたちが美しかった。それゆえに、人々は競って彼を慕った。 楚国の王仲先は、その美貌の噂を聞くとじきじきに出向いて友となることを求めた。すると、章のほうでもこれを許した。 そして二人は同じ学校で学ぶことを…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 第一百十三回

丁夫人の嘆き(曹操の後庭)第一百十三回 《これまでのあらすじ》 雒陽を制圧した董卓は、少帝劉弁を廃して幼帝(献帝劉協)を即位させる。この暴挙に、袁紹を盟主に仰ぐ董卓討伐の義軍が起こった。義軍の意気たるや軒昂だが、内心は董卓を恐れて、勇ましく酒盛…

馮燕の侠気(おとこぎ)下

馮燕の侠気(おとこぎ)下 《男たちの見方》 馮燕は魏州出身の豪傑だ。爺さんも親父も名もない白民(へいみん)だ。だからといって燕という男の値打ちが下がるわけじゃない。そうじゃないか? 白民など人間扱いしない世の中、この世の中が腐っている。出世できる…