2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧
丁夫人の嘆き(曹操の後庭)三十九 この兄弟が同じ母から生まれたとは到底、信じがたい。無頼な仁(字は子孝)と慎み深くて学問好きの純(字は子和)とは水と油、純は兄を避けていた時期がある。純は十四歳のとき父を亡くし、それからというもの兄と別居した…
丁夫人の嘆き(曹操の後庭)三十八 もどってきた博労たちの人数が倍に膨れ上がっている。 「おおっ。あれは」 夏侯惇が相好を崩す。 「お、おっ。子孝……生きとったか」 「生きとったかとはご挨拶じゃねぇか。おれはこの通り元気じゃ。元讓めが捜したぜ。行方…
丁夫人の嘆き(曹操の後庭)三十七 わたしたちは 酸棗に向かって進んだが、日ごとに落後者がでた。 「烏合の衆じゃ仕方あるまい。こ奴らの身も心も大義で染めてやらねばのう」 孟徳は流れる雲に目をむけた。 「酸棗にいけばなんとかなりますわい。かの地では…
やったね。道尾秀介氏、直木賞おめでとう。 とうとうやったね。 土曜日、十五の春から友達しているkさんと難波で待ち合わせして、九十分食い放題の「香港飲茶」でおしゃべりしながら食べた食べた。 苦しくってぶらぶら街ウォーク、ナンバ花月のほうへ足を伸…
丁夫人の嘆き(曹操の後庭)三十六 そのとき孟徳は陳留太守張邈(ちょうばく)に属する武将でしかなかった。鮑信は付和雷同する軽薄な男ではない。それだけにその言葉は重い。その場に居合わせた惇はわがことのように頬を紅潮させた。惇は従兄に惚れている。…
丁夫人の嘆き(曹操の後庭)三十五 博労の李が孟徳の愛馬の蹄鉄を調べて眉をしかめた。 「ずいぶん馬を責めましたな、これじゃ酸棗まで無理ですわい」 「おお。取り替えてもらおう」 「ようございますとも」 博労が鍛冶場に馬を曳いていく。わたしたちは中牟…