マタタビ癖が悪い
マタタビ癖が悪い
天高く馬肥える秋、数日まえの暑さが嘘のようです。いやーだ、まだ入道雲だわとうんざり気味だった空も、今日は遅ればせながらすじ雲やうろこ雲が主役だよっと自己主張していました。
夏の間、ニヤンタは少し痩せた。なんとなく元気がなかった。猫守が帰宅すると、黒っぽい巨大な芋虫のような物体がずりずりっ、ずりずりっと床をはってくる。ぎよっとしてよくよく見れば、可愛いニヤンタではないか。顎からお腹全体を床にくっつけたまま、這ってくるのだ。
これ、なんて恰好なの? ちゃんと立って歩きなさい。
ニャー。
具合でも悪いのかしらねぇ。マタタビでも買ってこようか。うん、ちょっとこれは……、いやいや、大いに問題がある。
酒癖ならぬマタタビ癖が悪い、とても悪い。
スティック状の袋一本をペロリと平らげて(餌に振りかけても、餌は食べないでマタタビの粉だけ器用に食べちゃうの)、ニャーニャー鳴いて、暴れまわる。噛みつくこと噛みつくこと。手も足もガブ。さあー、プロレスでもやろうよ。ガブッと来るから、走って逃げないといけないのだ。
そりゃ、凶暴な悪い猫になって始末に負えない。いくらなんでも蹴っ飛ばすわけにはいかない、新聞紙やタオルを振り回して攻撃をかわすのだけど、ああ、マタタビ癖が悪いとね、お気楽にマタタビを与えるわけにはいかないの。
でも、ここ二週間前くらいからよく食べだした。少し、太ってきたようだわ。
人間のほうも近頃、よく食べる、太らないように気をつけなくちゃね。