猫がいない!

                   猫がいない!
 
 年末は大掃除でくたくたになりました。うちの猫も、な~んの役にも立たないのに家の中をうろうろ、いつもの倍以上も動き回っていました。
 猫なりに人間様のやることを仕事をいちいち点検してまわっていました。
 手の届かない高いところは踏み台を利用してお掃除。タンスの上もめでたくゴミ掃除。すごい埃だった。
 タンスの上の掃除はすんだ。
 踏み台をエアコンの下に移動してエアコンのマニュアル本を読みながら、部品をとりはずしせっせと水洗い。すごい埃だった。踏み台を上ったり降りたり、ステップを占領していた猫はどこかへ行ったらしく、足下を気にせずに掃除はスムースに進む。エアコンの掃除もあと少しで終わりだ。わたしは鼻歌の一つでもでそうな上機嫌でいた。と、そのとき、か細い妙に哀れっぽい猫の鳴き声
 
  うん? ニヤンタだ、ニヤンタの声だけど。
「ニヤンタ~っ」
「にゃーお~。にゃーお~」
 なんとも哀れなか細い鳴き声。
 声はすれど姿は見えぬ。
「猫は? 猫はど~こ~つ」
「にゃーお~。にゃーお~」
 「猫は?」と言えばスポットライトを浴びたように気取って「ボク、カクレンボノ名人(猫?ですね)」と姿を現すニヤンタだが、声のみで姿が見えぬ。
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 あらら、また閉じこめられたの?
 「ニヤンター」と呼びながらタンスの扉をあけていく。いない。いない。声はするのだけどいない。
 みんなで探したのだ。なにげなく息子がひょいと頭上を見上げると、タンスの上のはしっこで下を見下ろしながら「にゃー」と哀れな声で答えた。
 
 ニヤンタは踏み台の上からタンスの上に飛び移ったらしい。
 初めのうちは楽しかったらしいが、踏み台をはずされて飛び降りるには高すぎて、野良猫たちはジャンプ出来る高さだけど、ニヤンタは怖くて飛び降りることができなかったのだ。猫の手も借りたい年の瀬の猫騒動でした。 
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 日頃はでっかい顔で平和をむさぼっているいたずら猫ですが、
 鈍くさいところを披露してしまい、しばらくはしゅんとしていました。