2010-12-07から1日間の記事一覧

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 三十二

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 三十二 「とうとうやりなすったね」と、博労は風を孕んだ旗を目を細めて見上げた。わたしが刺繍した『曹』の文字が風に揺らいで登り龍のように躍っている。 博労も容易ならぬ旅をしたのらしい、雒陽で別れたときよりも頬がそげ落…