2016-07-12から1日間の記事一覧

妖(もののけ)の涙――小説玉璽物語 十五

妖(もののけ)の涙――小説玉璽物語 十五 「婁(ろう)先生」 敬意を払って私は螻蛄(けら)を先生と呼んだ。 「尻がこそばゆい。好学と呼んでくれ」 螻蛄(けら)は私の肩の上でじーと鳴く。気のせいか、螻蛄の声が耳にやさしく響いた。 「それでは好学どのと…