猫守家のこたつと星の王子様ごっこ

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こたつはいい。
ぬくぬくと暖かくて、そこだけ春の日だまりのよう。
寒さで妙に闘争的になっていた心が、ふわーっとなごみだす。

ニャンタもこたつが大好き。
毎年、十一月の終わりごろにこたつを屋根裏からこたつをおろしてくる。
もう、それだけでニャンタはそわそわ。
こたつぶとんをリビングに広げると、
うれしいな、ボク、うれいしいよと、敷布団と床のあいだにもぐりこむ。
ニャンタに飼い猫になって良かった理由を聞くと、
こたつにもぐりこめることと答えるに違いない。
ニャンタはこたつで尺取り虫のようにノビーッをしていたり(そんなときマンチカンみたいだけど)
海老見たいに丸まって前足をXに交差させてその上に頭をのせて眠っていたりする。
その寝姿、猫守に似ていて笑ってしまう。

猫守家に春を届けるこたつであるが、
これがまた、ニャンタには場所取りの戦場でもあるのだ。
ふー、冷えた。冷えた。猫守がこたつに足を入れる。
と、すると、ガブッ。痛い、足を噛まれた。
布団をめくると、「顔面キックしないで」と言わんばかりのニャンタの顔。
ある時は、こたつに足を入れるとチョイチョイとニャンタが足で、猫守の足を押す。
フトンをめくると、そばにニャンタのお腹。
「お腹、蹴らないでね」と警告しているのだ。
背中を蹴ってしまうことはよくある。
お気楽にみえる猫だが、それなりに危険回避には気を使っているらしい。
こたつでのぼせるとふうーっととびだしてきて、座布団の上で横になる。すかさず猫守はタオルケットをかけてやる。
どうでもいいことらしい、これは。猫守がいないときはそのまま寝ていて、寒くなるとまたこたつにもぐりこんでいるのだから。
ただ、タオルケットをかけてくれと目で促すのは猫なりに、自分が愛されているか確かめているらしい。
満足そうに目を細めて「どんなもんだい」と、得意げというかずるそうな顔でキラッと目を光らせる。
こたつにだって自分でちゃんと入れる。
頭からすっともごりこめるのだ。
なのに、ニャンと可愛く鳴いて、「ボクは弱い猫でござんす。守ってくれないと凍え死にするんだぁ」と、布団をめくってくれと促す。
なんて猫だ。
おまえ、星の王子様ごっこをするんじゃないぞ。

ニャンタったら、100グラム入りのかつお節の袋を1週間で平らげ、袋に残ったかつお節のくず(最近、デフレって言ってもかつお節は値上がりしていて、しかも屑の量がふえてるんだ)にはフンとそっぽ向く。
あれ、捨てるのもったいなくてためておいて猫守はダシをとっているんだ。
そのダシで茶碗蒸しなどつくっているけどね……おまえ、ばらの木ですか?