ペットボトル一本分の思いやり

今回は猫ちゃんではなく、犬です。

ここに引っ越してくるまで犬って大好きな動物だった。
でも、今は犬は好きになれない。
犬のせいではない。飼い主のマナーのせいなのだけれど。

通りに面しているせいか、犬の落し物になやまされる。
右隣はまあ、公民館のような会館。〈ような会館〉といったのはそれに準じた建物だから。

その建物は犬のおしっこで困っていた。
何十匹もの犬の散歩道になっていて、それがそろいもそろっておしっこ。
そこらは犬のおしっこがしみついてむわっと臭い。

たまりかねて、
「犬におしっこさせないで」
と、ふだをとりつけたが、まったく効果なし。

犬の習性を無視した注意書きだったからかもしれない。

でも、よその地域では犬のお散歩のとき、500ミリリットル入りのペットボトルを持参している女性がいて、愛犬がおしっこすると、ペットボトルの水で洗い流していたそうだ。
それを見ていた、猫守の娘は
「時代のながれが変わったのね」

きっとその女性、美人にちがいない。
マナーがいい人は、どこかシャキッとしているもの。

わが家は、お隣でおしっこした犬がずるずると飼い主に引きずられて、臭い落し物をしていく。
袋は持参しても、
後始末しないで通過するのだ。

たいていの愛犬家はそんなことしない。
3匹の犬なのだ。
一匹は、偶然、その現場を目撃してしまった。
飼い主は飛ぶように逃げて行った。
新聞紙を棒のように丸めて持ち歩いていたが、
うんちを溝のふたの隙間から落として知らん顔するつもりだったらしい。
迷惑このうえもない。

もうひとりは七十代をゆうにこえた女性。
この人はあっちこっちで犬に糞をさせている。
服装や特徴からいろいろ情報がはいる。
おはようございますと挨拶して、犬にウンチさせ、後始末をしないで行ってしまうらしい。
あまりにもどうどうとしていたから、フン害を受けた相手は呆れてしまったそうだ。

三人目も女性だ。
愛犬の後始末くらいきちっとしてほしい。

きのう、三匹分の後始末をしながら、つくづくとマナーについて考えることしきり。
後始末する方は、マスク姿ですよ。それでも顔をしかめたくなる。
ホースからの水が勢いよくはねて、顔にぴちゃ、靴にぴちゃ。

後始末をきっちりできない人は、犬を飼わないでほしい。犬には罪はないのに犬がうらめしい。