麦の穂

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猫守が風邪でダウンしていた間
ニヤンタは悲しそうに枕元に座っていた。

どうして遊ばないの?
また、ボクを残してどこかへ行ってしまうの?

しんどいの。
ニヤンタもネンネしなさい。

いやだ!

しりません。

頭からフトンを被って眠っていると、あきらめて一人で(正確には一匹で)走り回って遊んでいる。


ベッドで横になっていると、ニャアと鳴く。

フトンに入りたいのかな?

さあ、お入り。

ニターッ。

顔のニヤンタがベッドの手すりに飛び乗る。

猫なりに、なにか企んでいる顔だ。

あっと思った瞬間、

モモンガのように頭上をニヤンタが跳んでいく。手すりを軽々と超えて床に着地。そのまま逃げて行った。

猫守が仏花の水を変えていると、

ヒイッと鳴いて麦の青い穂を食いちぎる。

大丈夫かな、麦のノギが喉に引っかからないのかな?

あああ、やはり、薄桃色の液体と麦の穂を吐いてあった。

この液体、いつもの胃液とはちがうぞ。

具合が悪そうなら動物病院へ行かなくっちゃ。

そのくせに、あいかわらずヒイッ、かすれた声で鳴きながら、

麦の穂をくれとせがむ。

大丈夫なのかなぁ。

麦の穂を与えてもいいのかなぁ。

わからないんのです。

猫騙しの術でも使おうか、

ダシじゃこ(イリコ)をひらひらと手で泳がせ、

高級品だぞ、これ。

てな具合に、気をそらしてしまった。