花ドロボーと猫

集金のアルバイトをしていると、今まで知らなかった町がご近所さんのように近しいものになります。様々な年代の方とお話ししていると、年代による言葉遣いの違い驚いたり、ちょっとした心遣いのお言葉にぽっと心に灯がともったりします。
 それから、野良猫のたまり場なるものを数カ所、発見しました。
 
 園芸が趣味のTさんは、花ドロボーに悩んでいます。Tさんのお話を伺うと、こちらまで心が暗くなってしまいます。
 Tさんのご近所では軒並み花ドロボーの被害にあっているとか。
 丹精込めて慈しんだ鉢物がまさに開花という頃合いを狙って鉢ごと、あるいは畑からスコップでごっそり持って行く。
 そりゃたまりませんよね。
 ある夜、Tさんは門の中に入ってごそごそしていた女性を見つけ、声をかけたら「わたしは猫に餌をやりにきただけです」といってにげられた。
腹に据えかねていたT さんは追っていったら、見失ったそうだ。その付近には野良猫のたまり場が二カ所あって、いつもスーパーのポリ袋が散乱しているという。
 
 しかし、盗んできた花を飾って楽しいのかしらね。
最近、野良猫のたまり場は子猫がいっぱい。それがとても可愛いので、猫守は困ってしまう。うちのニヤンタだって野良猫の出だ。周りの人は、子猫に住み着かれて、「ほんまに困るわ」とこぼしながら、可愛さに葛藤をおぼえている。
 
 困った女性がいたものだ、花ドロボーは決して風流ではない。立派な犯罪だ。Tさんの家のお花、だんだん少なくなっていくのが悲しい。