ニヤンタ、歯磨きしたね

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上の写真はニヤンタの液体歯磨きの図

猫は餌のみに生きるにあらず。ニヤンタ語録


ニヤンタは、十三日の金曜日に家人に拾われた。よたよたで、ぼろぼろの子猫だった。体を洗うと怒って、恐ろしいうなり声をだす。「うわっ、金曜猫だ、不吉な」。声まで悪魔じみている。
餌と水を与えてもきゅっと目をつぶつたまま、食べようとしない。皿を鼻先に突きつけてやるとようやく食べるのだ。水も、皿を鼻先につきつけるとようやく飲む、といった具合でぼんやりとカーペットの上でうずくまっていた。死ぬんじゃないかな、と思った。
保護して三日目に動物病院に連れて行った。
猫守のまえで、首をかしげたまま二、三歩歩いてみせては、よろっと倒れこむという動作を繰り返したからだ。
「人間は病気になったら医者へ行くでしょ。ぼくも医者へ連れて行って」
そんなふうに訴えているように思えた。
動物病院で、いろいろ検査して栄養剤を注射してもらって帰ってきた。
栄養剤が効いたのか、あわててニヤンタのそばを離れようとする猫守に、ドスのきいたこえでウワーオ、ウワーオ鳴きながら猫守の足に体をこすりつけ、グルグル回る。
「ぼくは猫の神様に、ママに会いたいとお願いした。ママに会えないなら、どうか神様、ぼくにママを恵んでくださいとお願いしたんだ。あんた、ぼくのママでしょ。餌をやったらそれでいいの? ママならぼくを抱っこするでしょ」
ニヤンタが猫守にそう訴えた。
でもねぇ、ニヤンタは家主だった。ノミ、ダニ、寄生虫の大家さん。ドスのきいた鳴き声に圧倒され、思わずニヤンタを抱っこした。
両手をだらんと垂らして、栄養失調でお世辞にも可愛いと言えない顔で、
「ママ、ぼくはずっとママを捜していたんだ。ママはずいぶん顔かたちが変わったね」
と、ニヤンタはじっとみつめる。
「可哀そうに、たったひとりで生きてきたのか。がんばったね」
あっ。シャワー、シャワー。感傷にひたってられない。
猫守はニヤンタをほっぽり出して浴室に走る。ニヤンタ的大家はごめんだ。シャワーを浴びて衣類は洗濯。乾燥後は下着までアイロンかけて害虫を駆除した。

めでたくニヤンタは健康をとりもどし、大家を廃業した。
気になっていたことがある。歯磨きだ、ニヤンタの口を開けようとするとカブッ。失敗の連続で、おざなりにしたまま二年以上過ぎた。奥歯が黄色いのが気になっていた。
知り合いの猫、ケーキが好きで、おねだりするまま与えていたら糖尿病で歯槽膿漏になったそうだ。
ニヤンタ、大丈夫かなぁ。ちかごろの猫、長生きだもの。虫歯も歯槽膿漏も困る、困る。猫の入れ歯も聞いた事がないもの。そんなとき、うまい具合に犬猫用の液体歯磨きなるものを見つけた。
使ってみた。頬の横から奥歯にたらすだけでいいから、とても扱いやすい、猫もおとなしくしている。おいしいのか、ママにおやつもらったって感じ。写真はちよっとニヤンタ、すごい顔だけど。