猫のマッサージ屋さん
猫のマッサージ屋さん
ボク、疲れちゃったよ。猫のマッサージ屋さんはネンネ。
体調が思わしくなかったのに〆最後の一軒の集金に出かけた。行きは小雨だった。十分ほどすると本降りだ。ずぶぬれで自転車をこぐ人がいて気の毒だった。わたしは雨合羽を着ていたが、それでも少し涼しい。
最後の集金を終えて「完了」とバンザイ(心の中で、ですよ)したころには、どしゃ降り。カッパを着ると蒸し暑いので、半袖のTシャツしか着こんでいない。なのに、容赦なく雨は背中を叩きつける。ひえっ。背中が冷たい、冷える。レインハットを被っていたけれど途中で吹き飛ばされて頭もびしょぬれ。すぐにお風呂に入ればよかったのに、油断していた。
翌日、効果はてきめん。右のわき腹に重苦しい。空気がたまっている感じだ。
朝食を食べてしばらくすると吐いてしまった。
ニヤンタは、そんなわたしをじっと見ていた。
「けったいやな。いつもと様子が違うぞ」
目を丸くして、ほうって感じで。
ああ、心配してくれるのか、猫ながら感心感心。じいんと胸が熱くなる。
でも猫は猫だ。そのあとがいけない。遊ぼう、遊ぼう、遊んでくれへんの。ガブッ。
「噛む猫はいやっ」
叱りつけてベッドにもぐりこんだ。ニヤンタも仕方ないといった風に、わたしの足を枕にネンネ。
夜中にニヤンタが布団の中にもぐりこんできた。気温が十四度をこえると布団の上で眠るくせに、猫も冷えたのかな?
布団の中でニヤンタはもぞもぞもがく。???
あの短い四本足でわたしの右わき腹をプニュプニュ、プニュプニュと忙しく押しまくる。肉球のくすぐったいこと、わたしのお腹の空気がゆっくりと動き出した。ニヤンタの猫式マッサージは十分くらいつづいた。
おかげで今朝は快調。
不思議です。ニヤンタにプニュプニュされるの初めてですが、これは偶然なのか、「ボク、治してあげる」としてくれたのかわからない。