健康診断の結果
健康診断の結果
今年の二月に受けた健康診断の判定書をみてびっくり仰天した私は、急いで総合病院にでかけた。
判定書には過去三ヶ月間の血糖値が高い→病院で治療を受けてください。
肝臓の数値が高い→病院で治療を受けてください。
病院を選ぶ前に、
都市伝説のように囁かれている噂を思い出した。
△△病院は一度入院すると、薬づけにされ退院できない。
××病院は利潤追求に熱心で投薬や検査が多すぎる。
などなどである。でも××も△△もとても繁盛しています。だから、本当かなと思ってしまう。
体の不調に鈍感な私は 一度倒れたら入院か手術だ。足繁く病院通いをしている知人たちは、けっこう大過なく過ごしている。体のメンテナンスを怠っていたのかな、私。そういうわけで主治医なんていない。
それで八年以上もまえに検査入院した病院に行った。あのときは「受付はなにをしとるんだ、緊急の患者にはさっさと予約をいれないとだめだろ」と、医師と看護師が怒り、初診で即、入院だった。病室が空いていなかったので、検査室の隅っこをカーテンで仕切り、そこで休みながら「空き」を待った。
丁寧に適切に診てくださった医師と看護師の医療に向き合う態度に心打たれたのである。退院するときの精算で、入院保証金もまだ払っていないことに初めて気がついた。窓口では「まあ……」と、呆れた顔をされた。そんなこと知らなかったのだ。だれも何にも言わなかったから。
そういうわけで、以前に入院したO病院に行った。そのときの医師は退職していたが、検査資料はちゃんと保存されていた。ベテランらしいW医師が健康診断の診断書に目を通し、再度血液検査を受けた。尿検査は全く異常がなかったので再検査はなしである。
その結果、血糖値はやはり高かった。
肝臓の値も悪かった。
「血糖値はBMIを減らせば低くなります。栄養指導を受けますか?」
血糖値が正常になるならこんなにいいことはない。
「はい」
栄養指導で一日1440キロカロリー生活を指導された。そして出来るだけ動くようにと。
これはつらかった。毎日、ひもじくてたまらなかった。歩いていてもふらふらして、辛くてアゴが出た。そのうち胃袋が小さくなったのか1440キロカロリーは、ずいぶんバラエティーに富んだ食事が出来ると思うようになった。そして体重も今では八キロほど落ちた。これは散歩の効果だと思う。
甘いものも控えめに食べているが、血糖値が正常の範囲に入った。
問題は肝臓である。
種種の徹底した検査の結果、『「原発性胆汁性胆管炎」の疑いがあるので肝臓の専門医のいる病院にいきなさい』と、いうことで通院に便利な市民病院への紹介状を頂戴した。
市民病院で紹介状を見た担当医師は
「ほう、徹底的した検査をうけたのですね。それで病名をなんとおっしゃっていましたか?」
にこやかに私を見る。
「はい、原発性胆汁性胆管炎の疑いがあるので肝臓の専門医がいらっしゃる病院で検査を受けなさいとのことでした」
「ええ、原発性胆汁性胆管炎ですよ」
相変わらずにこやかに私を見る。
ああ、この先生は切れ者だ。この会話のやりとりで病状の進み具合をきちんと観察していたのである。
この病気は
進行すると肝硬変から肝臓がんになる。 あるいは認知症のような症状が出て、ひたすらに眠り続けることもあるそうだ。黄疸の症状もでる。
病気の特性として骨密度が低くなる。
そこでまた徹底した検査をうけた。やはり骨密度が低くなっていた。身長が3.5センチ縮んでいたのも頷ける。
それで現在、胆汁の出がよくなるお薬を飲んでいます。そして、骨密度を改善する薬も飲んでいます。
私の場合、はやくに病院に行ったこともよかったし、
運にめぐまれて
よい先生に巡り会ったことも幸運でした。肝臓の数値は薬のおかげで次第に改善されつつあります。
健康診断の結果が悪かった人、すぐに病院に行きましょう。早ければ早いほど手のうちようがありますよ。
一つだけ私、かくしていることがあります、心電図の検査を受けたのは二十一歳のときで、以来受けていません。これはやはり、申告して心電図をとって戴こうと思います。
時々、キッキと胸が痛くなることがありますので。