五夫守宅(ごふしゅたく)の女

   五夫守宅(ごふしゅたく)の女

 

 武則天の周朝の郎中、裴珪の妾の趙氏は器量よしだ。

 趙氏はかつて張璟藏(ちょうけいぞう)という占の大家のところに行き、生まれ年の干支で(原文は年命*生年の干支をもとに運命を占うこと)運勢をみてもらった。

璟藏がいった。「夫人の目は切れ長で慢視である。人相占いの書には猪視は淫乱とある。婦人の目が四白であれば「五夫守宅」というてな、多淫で操を守れず、ついには姦通により地位を追われますのじゃ。くれぐれも身をつつしまれることです」と。

趙氏は笑って立ち去った。彼女は四白眼(しはくがん)だったのだ。


のちに趙氏は果たして姦通罪で裴家から追い出され、官の奴隷に落とされて後宮でこきつかわれた。

朝野僉載(ちょうやせんさい)より 


*四白

四白眼のことで、趙氏の切れ長の目は黒目が普通よりも小さくて、黒目の上下左右に白眼が広がっていたのである。

*慢視(けいべつした目つき)

*猪視(ちょし。辞書には出ていない。中国の占いに関するブログでは羊眼とあった。羊の淫乱の象徴のようにいわれるので、色気たっぷりな目のことかな? )


ネットで検索すると

四白眼の画像が出てきます。そして日本の人相学では中国とは判断が違います。