ベッドはかつお節のにおい

久しぶりに猫守のベッドで寝た。
それまで、本を読みながら、リビングで寝入ってしまう毎日だった。おかげで背中が痛い。
フトンに入るとかつお節のにおいがする。
「ああ、いいおダシ。うどんでも……」
なんて、のんきに食べ物を連想している場合ではない。
フトンや枕からかつお節のにおいがぷんぷん。
フトンに入ると濃厚なかつお節のにおいだ。

うちのニヤンタだ。
ニヤンタが猫守のベッドで一月ものの間、かつお節のにおいをつけまわったらしい。
猫守がオーデコロンをシュッとスプレーするのを見ていたニヤンタ。
「いいにおいだろ」
猫守のフトンをかつお節のにおいだらけにするとは。

ニヤンタの好物はかつお節と鮭。
「ちょうだい。ちょうだい」
じっと餌入れの前に座って待っている。
「ちょっとだけよ」
するとまあ、
「すくない」
目だけキョロッと動かしてかつお節の袋をチラチラ。

だからかなあ。
フトン、なんとかしなくちゃ。
きっと猫守も「かつおダシ」の歩くコマーシャルになっているに違いない。
ああ、嘆かわしいわ。