夢ネコの夢

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ニヤンタを上から写すと徳利だ
本当はもっとスリム。でも餌を食べるときは徳利ネコになる。
ニヤンタの体、伸びたりちぢんだりする。

「ネコ見せて」
知り合いに言われて、息子はニヤンタを抱いて外にでる。
「ヒャアー、デカイーッ」
「おまえんちのネコ、ブタ猫やわ」
「そんなこと言うな。洗うと細いぞ。こいつ、毛が長いからなあ」
息子が弁解している声が聞こえる。

ニヤンタは人見知りする。
やっと解放されて戻ってくると、「ぼくの体に他人のにおいをつけられた」とばかり、プリプリ怒った感じで、毛づくろいする。丹念に。

一枚目の写真はかつお節に目が無いニヤンタ。おやつのはずが、かつお節としゃけのほぐし身だけで、お腹一杯にしようとする。
「キャットフードも食べなさい」
猫守に叱られるが、つぶらな瞳でかつお節の隠し場所をじいーっと見つめるばかり。
つい、かつお節を与え過ぎてしまう。

ここ、数日、肌寒い日が続いた。
ニヤンタは腹ばいになり、小山のように背を丸めて寝ている。
フリースの膝かけを掛けてやると、ころんと横になって寝た。
しばらくするとニヤンタの髭(ひげ)が小刻み震えだした。
「えっ、痙攣(けいれん)してる」
針山のような、ヒゲが生えた口元がぴくぴく小刻みに震え、せわしなく舌が出たり入ったり。
「病気? う、うん。落ち着いて。これは……」
子猫が母猫のおっぱいを飲む姿に似ている。

ニヤンタは三歳を過ぎたのに、おっぱいを飲んでいる夢を見ているのだ。
ニヤンタががうちの猫になってから数カ月間。
茶髪の息子は夜中に突然、ニヤンタにチュッチュッと耳たぶを吸われた。
「こいつ、耳たぶを母猫のおっぱいと間違えてるわ」
ニヤンタの母親は茶色のお腹をしていたらしい。
いくつになっても、母猫のことを覚えているニヤンタがいじらしい。

ニヤンタは寝言をいう。
にゃーにゃー。
鳴きながら息子のベッドでころんころんしていたという。
「こいつ、起きてるのか?」
覗き込むと、目はつぶったままで、前足も後ろ足も「く」の字型に曲げてころんころんだ。
「へー、ネコも寝言をいう、夢もみる」
息子は、へんに感心してしまった。