2010-10-03から1日間の記事一覧

丁夫人の嘆き(曹操の後庭)  二十七

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 二十七 またもや駅馬の鐸(おおすず)の音が響く。駅馬をやりすごした孟徳が鼻先でせせら笑った。 「へん。面白くなってきやがったぜ。袁公路(術)め、親父の不名誉を挽回するつもりで逃亡しおったが、見ておれよ、公路と本初(紹)が…

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 二十六

丁夫人の嘆き(曹操の後庭) 二十六 人生のような長い登り坂だった。 霊帝が黄巾の賊から都を守るために設けた旋門関へとつづく長い長い坂道を私たちはたどった。都にのぼるときはこの坂を胸を躍らせながらくだったものを、都落ちを余儀なくされた今、この身…