シルクロードと薔薇のジャム

           シルクロードと薔薇のジャム     
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写真は「JA堺」の情報誌CRAP(くらっぷ)より。
 
 わたしは農業とは無縁ですが、毎月両替の必要にかられてJAの組合員になりました。毎月届けられる情報誌CRAP(くらっぷ)は、このようなうれしいレシピやクイズが載っていて、気に入っています。三月号は薔薇のジャムでした。
 
 薔薇のジャムといえば、シルクロードの和田(ホータン)を思い出します。
和田は中国の新彊省にあって、古代のシルクロード沿いの町です。今の主な住民はウィグル族ですが漢民族も多いですね。
 漢代ではウテンと呼ばれた都市国家でした。ウテンは玉の産地として有名でした。
天山山脈の雪解け水が玉を運んでくるので、そのころになると白玉河(いまは別の名前ですがど忘れしました)は玉を探す人でいっぱいだそうです。町ではウィグル族の親父さんが玉を並べて商売に励んでいました。十八センチ大で二万円、北京オリンピックの時は高騰してとてもそんな値段じゃ買えませんが、カシュガルまでの鉄道が建設中だったころのことですから、ご当地の人の年収の数倍に匹敵する値段でした。石好きのツアーの参加者が値切って一万円でうれしそうに買いました。「石ばかり部屋に並べて床が抜ける」と奥さんにいつも叱られているそうです、その紳士は。
 玉の町、和田の名物が薔薇のジャムでした。薔薇がシルクロードに入ってきたのはいつ頃だったか知りません。アラビアンナイトを読むと、薔薇のエキスを混ぜた水で口をすすぐ……、なんてくだりがありませんでしたか? なんておしゃれなのだろうと感心した記憶があるのですが。
 もし、あの記憶が正しいとすればイスラム教とともにか? それはさておき、薔薇はそちこちの庭に植えられていたようです。和田にも大きなバラ園があって、大輪の薔薇が芳香を放っていました。
 ジャムを作っていたのはウィグル族の親父さんで、「これは健康によい。ウィグル族は咳止めにお湯に溶いて飲む。咳なんかすぐに止まるよ」という。
 昔、ブルガリア産のイチゴジャムって売っていたわね、大瓶のが。あの大瓶にベージュ色の薔薇ジャムが入っていた。三百五十円くらいでその薔薇ジャムを買った。
紅茶に入れると薔薇の香りが漂い、ほんと喉も楽になった。あっというまに食べちゃった。
 いまじゃ和田も物価が高くなって、あのような値段では買えないに違いない。案内してくれたウィグル族のガイドさんは、「ウィグル族は貧しい。産業を興してみんなが豊かになるようにしたい。みなさん、ウィグル族から一つでも多く品物を買って下さい」とわたしたちに訴えた。あっというまにジャムの棚は空っぽになり、親父さんもガイドもにこにこしていたけれど、昨今の政治情勢を考慮すると、鉄道は通っても観光客が安心していけないわね。