道教の『玉淸無上靈寶自然北斗本生眞經』について

 道教玉淸無上靈寶自然北斗本生眞經』について
 
玉淸無上靈寶自然北斗本生眞經』は略して北斗本生眞經と呼ばれます。以下は
華西系鏡群と五斗米道」森下, 章司氏 URL http://hdl.handle.net/2433/176364 
 
東方學報 (2012), 87: 486-450より抜粋

私のような浅学の徒が五斗米道とはどんなものかおぼろげながら知るきっかけになったのは森下彰司氏の上記の論文です。
 とても面白くてぐいぐい引きこまれていきました。それもそのはずで、とても人気のある先生でした。意欲的に研究に取り組まれていて、心地よいものを感じます。
『華西系鏡群と五斗米道』の論文中に玉淸無上靈寶自然北斗本生眞經』、略して北斗本生眞經が出てきました。とても興味深いものですのでここに抜粋いたします。興味をお持ちの方はぜひとも上記のURLにアクセスしてください。

…………『藏』洞眞部の「玉淸無上靈寶自然北斗本生眞經」(以下では北斗本生經と略稱シペール・ナンバー 45 以下 S. N. と略) を參照することにより,全體が整合的にできると考えた (森下2011b)。その後に氣づいた點をふくめ,詳しく對比してみよう。
北斗本生經には次のような物語を記す。
在昔龍漢,有一國王,其名周御,聖德无邊,時人稟受八萬四千大劫。王有玉妃,明哲慈,號曰紫光夫人。誓塵劫中,已發至願,願生聖子,輔佐乾坤,以裨造化。後三千劫,於此王出世。因上春日,百花榮茂之時,遊 戲後苑,至金花溫玉池邊,澡盥,忽有所感,花九包,應時開發,化生九子。其二長子,是爲天皇大帝,紫微大帝,其七幼子,是爲貪狼,巨門,祿存,文曲,貞,武曲,破軍之星。或善或惡,化導群情,於玉池中,經于七日七夜,結爲光明,飛居中極,去地九千萬里,化爲九大寶宮。二長帝君居紫微垣太虛宮中勾陳之位,掌握符圖,紀綱元化,爲衆星之領也。
 
むかし龍漢の時代,ある國に周御という國王がおられ,聖德はかぎりなく,時の人
は八萬四千大劫にわたりその恩を受けた。王には玉妃があり,明哲,慈 にして,
紫光夫人と號した。夫人は塵劫中に誓い,至願を發し,聖子を生むことを願って,
乾坤を補佐し,運氣を增大させてきた。三千劫の後,王は出世した。夫人は上春の
日,百花が榮茂する時,後苑にあそび,金花溫玉池のほとりに至って衣服
で水浴びをしているとき感應した。九つの花の包みが開發して,九子を生じた。
二人の長子は天皇大帝,紫微大帝であり,他の七人の幼子は北斗を構成する貪狼,巨門,祿存,文曲,貞,武曲,破軍の星々となった。善惡さまざまな群情を導き,玉池にて七日七夜を經て,結んで光明となり,天の中極に飛居し,地を去ること九
千萬里にして,九大寶宮と化した。二人の帝君は天空の紫微垣太虛宮中の勾陳の星座に位置し,符圖を掌握,紀綱を元化し,衆星の主領となった。
「太上玄靈斗姆大聖元君本命延生心經」(洞神部 S. N. 621 斗姆經) では,この婦人を「斗母 (斗姆)」と呼ぶ。


因淋浴於九曲華池中,湧出白玉龜臺神獬寶座,斗母登于寶座之上…洞園華池,化生九苞,經人閒七晝夜…是九章生神,應現九皇體。一曰天皇,二曰紫微,三曰貪狼,四曰巨門,五曰祿存,六曰文曲,七曰廉貞,八曰武曲,九曰破軍。天皇,紫微尊帝二星居斗口娑羅上宮…

天人感應により,賢聖なる紫光夫人は夫を介さずして九子を爲し,それらの子は天に昇って北辰・北斗の星々となった。彼らを生んだ聖なる母は「斗母 (斗姆)」と呼ばれるに至ったである。…………

以上「華西系鏡群と五斗米道」森下, 章司 URL http://hdl.handle.net/2433/176364
東方學報 (2012), 87: 486-450より抜粋
 

斗姆(とぼ)
イメージ 1
陝西省宝鶏市太白県 山中の斗姆宮 さびれているが、石積みからみると元はちゃんとした道観だと思う。
写真はグーグルマップより
イメージ 2
斗姆元君像 三目四面八臂(さんもくしめんはっぴ)で日月、弓、矛をもつ姿であらわされる。北斗七星の母である。
 写真は中国版WIKIより拝借
イメージ 3
イメージ 5
              上は玉皇像(右から二番目) 写真は劉泥塑工作室から拝借。この上に彩色する。下は                  斗姆元君泥塑像 (まだ彩色を施していない)
             写真は劉世晋泥塑工作室より拝借。
               泥塑像を作っている会社らしい。




イメージ 4
逍遥巾(しょうようきん。道士の帽子)
                  写真は中国サイトの道教装束の通販サイトより拝借しました。