恋人たちの樹
恋人たちの樹
潘章はごく年若いころから姿かたちが美しかった。それゆえに、人々は競って彼を慕った。
楚国の王仲先は、その美貌の噂を聞くとじきじきに出向いて友となることを求めた。すると、章のほうでもこれを許した。
そして二人は同じ学校で学ぶことを願い、一目で相愛となった。情愛の細やかなことはまるで夫婦のようで、同じ衾(ふすま)に一つ枕で眠った。二人の愛は変わらなかった。のちに、二人は時を同じゅうして死んだ。
両家の家人は二人を哀れんで羅浮山に合葬した。すると塚の上に、忽然と一本の樹が生え、その枝や葉はどれもこれも抱き合っていないものはなかった。世人はこれを珍しく思い、この樹を『共枕樹』と呼んだ。
注*羅浮山